歌詞の主人公を見失うと、言葉は迷子になる

どうも、H1R0Iです。

歌詞を書いている途中で、言葉が迷子になることがあります。

最初は何かを書きたい気持ちがあった。
伝えたい感情もあった。
それなのに、書き進めるほど、誰の気持ちを書いているのかわからなくなる。

自分の話なのか。
相手への言葉なのか。
リスナーへのメッセージなのか。
物語の中の誰かの心なのか。

そこが曖昧になると、歌詞の言葉は散らかり始めます。

歌詞には、主人公が必要です。

ここでいう主人公とは、物語の登場人物だけを指すわけではありません。

その歌詞の中で、誰の心が動いているのか。
誰の視点から世界を見ているのか。
誰が、誰に向けて言葉を届けようとしているのか。

その中心にいる存在のことです。

主人公が見えている歌詞は、言葉に軸があります。

たとえ感情が揺れていても、
たとえ場面が変わっても、
その歌詞が誰の心から出ているのかが伝わります。

反対に、主人公を見失うと、言葉は迷子になります。

最初は「自分は寂しい」と書いていたのに、途中から「君はどうしてわかってくれないの」と相手への責めに変わる。
そのあとで急に「みんなも前を向こう」というリスナーへのメッセージになる。

もちろん、視点の変化そのものが悪いわけではありません。

けれど、なぜその視点が変わるのかが見えていないと、歌詞の中で心の立ち位置がぼやけます。

あなたが今書いている歌詞の主人公は、誰でしょうか?

その人は、どこから何を見て、誰に向けて歌っているのでしょうか?

この問いを持つだけで、歌詞は少し整理しやすくなります。

たとえば、主人公が「過去の恋を忘れられない自分」なら、言葉はその人の心に寄せて選ぶ必要があります。

まだ未練があるのか。
もう手放したいのか。
相手に伝えたいのか。
自分自身を納得させたいのか。

同じ失恋でも、主人公の状態によって言葉は変わります。

主人公が「誰かを励ましたい自分」なら、リスナーとの距離感が大切になります。

上から励ますのか。
隣に座るように言葉を置くのか。
自分も同じ痛みを知っている立場で歌うのか。

それによって、歌詞の温度は変わります。

主人公が見えてくると、必要な言葉と不要な言葉が見えてきます。

この一行は主人公の心から出ているのか。
この表現は視点から外れていないか。
この言葉は、本当にその人が歌う言葉なのか。

そうやって見つめることで、歌詞は迷いにくくなります。

歌詞の主人公を決めることは、自由を狭めることではありません。

むしろ、言葉が進む道を作ることです。

誰の心から始まり、
誰に向かって流れ、
最後にどんな感情へたどり着くのか。

その道筋が見えると、歌詞は一本の流れを持ち始めます。

もし歌詞を書いていて途中で迷ったら、フレーズだけを直そうとする前に、主人公を確認してみてください。

この歌詞の中心にいるのは誰なのか?

その人は、本当は何を届けたいのか?

そこが見えるだけで、迷子になっていた言葉が少しずつ戻ってくることがあります。

歌詞は、言葉の集まりである前に、誰かの心の動きです。

その心の主人公を見失わないこと。

それが、自分の言葉を取り戻すための大切な視点になります。

H1R0I

この記事を書いた人

作詞専門コンサルタント、作詞家、そして連続起業家。H1R0Iとしての活動の他に、2つの独自事業を展開している。

目次