作詞家は、すぐに結論を書かない

どうも、H1R0Iです。

歌詞を書こうとするとき、すぐに結論を書きたくなることがあります。

「前を向こう」
「忘れよう」
「大丈夫」
「君が大切だった」
「もう一度歩き出す」

もちろん、結論になる言葉は大切です。

歌詞には、最後に残したい想いや、リスナーに届けたいメッセージがあります。

けれど、最初から結論だけを書こうとすると、歌詞が浅く見えてしまうことがあります。

なぜなら、リスナーは結論だけを受け取りたいわけではないからです。

その結論にたどり着くまでの心の動き。
迷い。
葛藤。
痛み。
気づき。
それでも残った願い。

そうしたものがあるから、最後の言葉に重みが生まれます。

たとえば、「前を向こう」という言葉があります。

この言葉だけを見ると、とても前向きです。

でも、その人がどんな暗闇を通ってきたのか。
何に傷つき、何を失い、それでもなぜ前を向こうと思えたのか。

そこが見えないまま「前を向こう」と言われても、リスナーには少し遠く感じられることがあります。

作詞家は、すぐに結論を書きません。

結論の前に、心の道筋を見ます。

なぜその結論にたどり着いたのか。
そこに至るまでに、何を感じていたのか。
本当は何を言えずにいたのか。
どんな迷いを越えて、その一言が出てきたのか。

そこを見つめます。

あなたが今書こうとしている歌詞は、結論を急ぎすぎていませんか?

まだ心が追いついていないのに、きれいな答えでまとめようとしていませんか?

歌詞において大切なのは、正しい結論を書くことだけではありません。

その結論が、心の流れの中から自然に出てくることです。

悲しみを書いているなら、いきなり「もう大丈夫」と言わなくてもいい。

まだ大丈夫ではない時間を書いてもいい。
忘れられない自分を書いてもいい。
前を向きたいけれど、まだ怖い気持ちを書いてもいい。

その揺れを丁寧に見つめた先に出てくる「大丈夫」なら、言葉の響きは変わります。

結論は、先に決めるものではなく、歌詞の中で育っていくものでもあります。

最初はただの痛みだったものが、見つめるうちに願いへ変わる。
怒りだったものの奥に、本当は大切にされたかった気持ちが見えてくる。
寂しさの奥に、まだ誰かとつながりたい想いが残っている。

そうやって心の奥へ進んだ先に、歌詞の結論は見えてきます。

だから、焦らなくていいのです。

すぐに答えを出そうとしなくていい。
きれいにまとめようとしなくていい。
最初からリスナーを納得させようとしなくていい。

まずは、心がどこから始まっているのかを見ることです。

そこから、どんな感情を通り、どんな気づきへ向かうのかを見つめることです。

作詞家は、すぐに結論を書かない。

それは、遠回りをしているのではありません。

最後の一言を、本当に届く言葉へ育てるために、心の道筋を大切にしているのです。

H1R0I

この記事を書いた人

作詞専門コンサルタント、作詞家、そして連続起業家。H1R0Iとしての活動の他に、2つの独自事業を展開している。

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