VTuberの歌詞に必要な「本人」と「キャラクター」の距離感

どうも、H1R0Iです。

VTuberのオリジナル曲を考えるとき、とても大切になるものがあります。

それは、
「本人」と「キャラクター」の距離感です。

VTuberは、不思議な存在です。

画面の中にはキャラクターがいる。
でも、その奥には確かに人の心がある。
設定があり、世界観があり、ビジュアルがあり、声があり、話し方があり、活動の積み重ねがある。

リスナーやファンは、ただキャラクターの設定だけを見ているわけではありません。

その人が配信の中で見せてきた表情。
笑い方。
悩み方。
言葉の選び方。
ファンとの関係性。
活動を続けてきた時間。

そうしたものを含めて、そのVTuberを受け取っています。

だから、VTuberの歌詞は難しいのです。

完全にキャラクター設定だけで書くと、どこか薄くなることがあります。
反対に、本人の内面だけをそのまま出しすぎると、今度は世界観が崩れることがあります。

この間にある距離感をどう扱うか。

そこが、VTuberの歌詞において大切なポイントになります。

たとえば、キャラクター設定がしっかりしているVTuberがいたとします。

異世界から来た存在。
魔法使い。
天使。
悪魔。
アンドロイド。
アイドル。
旅人。
物語の中にいるような存在。

その設定を歌詞に入れることはできます。

羽。
魔法。
星空。
別世界。
運命。
約束。
光。
闇。

こうした言葉を使えば、世界観らしい歌詞にはなります。

けれど、それだけでは、必ずしも心に届く歌詞にはなりません。

なぜなら、設定はあくまで入口だからです。

本当に大切なのは、そのキャラクターが何を感じているのか。
そして、そのキャラクターとして活動してきた存在が、ファンに何を届けたいのか。

そこにあります。

設定を並べるだけでは、歌詞は説明になります。
でも、設定の奥にある心を見つめると、歌詞は物語になります。

たとえば、「天使」という設定があるとしても、ただ天使らしい言葉を並べるだけではなく、

なぜ地上に降りてきたのか。
誰を見守りたいのか。
どんな孤独を抱えているのか。
ファンとの出会いで何が変わったのか。
どんな願いを歌に込めたいのか。

そこまで見つめると、言葉は深くなります。

一方で、本人の本音を出すことも大切です。

活動を続ける中で感じたこと。
ファンに支えられた経験。
見えないところでの不安。
夢に向かう覚悟。
悔しさ。
喜び。
それでも届けたい想い。

そうしたものが歌詞に入ると、楽曲に温度が生まれます。

ただし、それをそのまま出しすぎると、キャラクターの世界観とぶつかることがあります。

あまりにも生々しい個人的事情が前に出すぎると、ファンが受け取ってきたキャラクター像との間に違和感が生まれることがあります。

だから、VTuberの歌詞では、本人の本音をそのまま裸で出すのではなく、キャラクターの言葉としてどう変換するかが大切です。

本人の想いを、キャラクターの口調や世界観を通して届ける。
キャラクターの設定を、本人の活動の歩みと重ねて深める。
ファンとの関係性を、作品世界の言葉で表現する。

この変換ができると、VTuberの歌詞は強くなります。

ここで大切なのは、本人とキャラクターを無理に分けすぎないことです。

「これは本人の気持ち」
「これはキャラクターの設定」

と完全に切り離して考えると、歌詞は硬くなります。

でも、完全に混ぜすぎても、軸がぼやけます。

だから必要なのは、距離感です。

本人の心が、どのくらいキャラクターに宿っているのか。
キャラクターの世界観が、どのくらい本人の活動と重なっているのか。
ファンは、そのVTuberのどこに心を動かしているのか。
その楽曲では、どちらの比重を強く出すべきなのか。

これを見つめる必要があります。

たとえば、周年記念の曲なら、本人の歩みやファンへの感謝が強く出ても自然です。

デビュー曲なら、キャラクターの世界観や活動の始まりを強く打ち出す方が合うかもしれません。

ライブの盛り上げ曲なら、ファンとの一体感やキャラクターらしいエネルギーが大切になります。

物語性のある楽曲なら、本人の本音を少し奥に隠しながら、キャラクターの視点で描く方が深くなることもあります。

つまり、VTuberの歌詞に正解は一つではありません。

大切なのは、その曲で何を届けたいのかです。

キャラクターの魅力を伝えたいのか。
本人の歩みを込めたいのか。
ファンへの感謝を届けたいのか。
世界観を広げたいのか。
活動の覚悟を示したいのか。
聴いた人が一緒に進みたくなる曲にしたいのか。

目的が変われば、「本人」と「キャラクター」の距離感も変わります。

ここを見ないまま歌詞を書くと、言葉がちぐはぐになることがあります。

キャラクターらしい言葉を使っているのに、なぜか心が見えない。
本人の想いを書いているのに、なぜか世界観から浮いている。
ファンに向けているはずなのに、誰に向けた歌なのか曖昧になる。

そういうときは、歌詞の技術だけの問題ではないかもしれません。

「誰として歌っているのか」が、まだ定まっていないのかもしれません。

VTuberの歌詞では、この問いがとても重要です。

この歌は、本人として歌っているのか。
キャラクターとして歌っているのか。
それとも、本人とキャラクターが重なった存在として歌っているのか。

この立ち位置が見えてくると、言葉の選び方が変わります。

使ってよい言葉。
避けた方がいい言葉。
強く出すべき感情。
少し隠した方が美しい感情。
ファンに届きやすい距離感。

そうしたものが見えてきます。

歌詞は、ただ言いたいことを書くものではありません。

特にVTuberの場合は、誰の言葉として届けるのかが大切です。

本人の言葉なのか。
キャラクターの言葉なのか。
作品世界の言葉なのか。
ファンとの関係性から生まれた言葉なのか。

その重なりの中に、VTuberならではの歌詞があります。

だから、VTuberの歌詞を書くときは、まず設定だけを見ないことです。

そして、本人の本音だけにも寄りすぎないことです。

設定の奥にある心を見る。
本人の想いを、キャラクターの言葉へ変換する。
ファンが受け取ってきた存在感を大切にする。
その曲が、どの距離感で歌われるべきなのかを見つめる。

そこから、言葉は少しずつ整っていきます。

VTuberの歌詞に必要なのは、単なるキャラクターらしさではありません。

本人の心と、キャラクターの世界観と、ファンとの関係性。

その三つがどの距離で重なっているのかを見つめることです。

その距離感が整ったとき、歌詞はただの設定紹介ではなくなります。

そのVTuberだからこそ歌える言葉になります。

H1R0I

この記事を書いた人

作詞専門コンサルタント、作詞家、そして連続起業家。H1R0Iとしての活動の他に、2つの独自事業を展開している。

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